禅の里 永平寺









トップ画像は、「柏樹關の様子(4月26日))」

禅の里永平寺だより

永平寺門前宿泊施設「柏樹關」の設計について



清水建設株式会社 集合住宅・社寺設計部 青木 裕一

 柏樹關の設計について説明させていただきます。
柏樹關は、御本山から、「檀信徒だけでなく外国人を含め一般の方々も利用でき、永平寺境域に相応しい建物にしたい」というご要望、そして運営者の藤田観光様からは、「旅館と宿坊の中間に位置する宿泊施設」というコンセプトで、「宿坊とは異なったかたちで、本物の禅の心に触れることができる施設」というご要望をいただきました。
これを受けて設計としては、次のコンセプトに展開し設計を進めました。


① 永平寺境域に相応しい、「禅の空間」の創出

 外観については、玄関棟は永平寺庫院をイメージした木造建築とし、宿泊棟についても、和風のデザインを盛り込むことにしました。また、内外の空間については、道元禅師の御歌
「峰の色 渓の響きも皆ながら 吾が釈迦牟尼の声と姿と」
にもありますように、建物の中にいても山々の峰の色や谷川の響きが感じ取れることが「禅の空間」と考え、建築と自然の一体化を図り、「親禅の宿」を目指しました。


② 地産地消と地域貢献

 建物の構造材、造作材、家具、サインなどには、永平寺杉などご本山からの支給材を主に使用しています。ほとんどが無垢材で使用しているため、それぞれ色が違っていたり、節もあったり、また割れが見受けられるものもあります。それぞれの特性を生かしながら、適材適所に使わせていただきました。客室は18室ありますが、趣きはすべて異なります。また、地産地消と地域貢献という観点から、木材以外にも、越前瓦、越前焼、越前和紙、越前漆器を建物の随所に使用しています。


③ 陰翳礼賛(いんえいらいさん)

 「陰翳礼賛」とは、谷崎潤一郎が日本人の美意識について論じたもので、「美というものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされた我々の先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。」と書かれています。柏樹関はその考えを取り入れ、宿泊施設として必要な明るさを確保しながらも、出来るだけ陰翳を生かした空間づくりに努めました。



 現場は5月末竣工、お引き渡しを目指して最後の仕上げ・調整を行っております。
オープン後ご利用の際は、上記のコンセプトが、実際にどのように反映されているかご覧いただけたら幸いです。


参道からの外観(柏樹關)



エントランスホール



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