「光明 ~二祖の示された内なる輝き」

大本山永平寺では、来る令和12年10月、永平寺の二代目・懐奘禅師(えじょうぜんじ)さまの750回大遠忌(だいおんき)法要を奉修いたします。これは50年に一度の大法要で、現在、『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』「光明」巻より戴いた「光明(こうみょう)」をテーマとして準備を進めております。
懐奘禅師さまの師匠・道元禅師(どうげんぜんじ)さまは『正法眼蔵』をはじめ多くのご著書をお書きになられました。「正伝(しょうでん)の仏法」を広く開示され、懐奘禅師さまはそれを丁寧に書写し、今を生きる我々へ遺されました。道元禅師さまの御教えが現代まで伝えられているのは、まさに懐奘禅師さまの献身的な書写活動があってこそであります。
この今に伝えられた御教えは「仏祖の慧命(えみょう)」とも、「智慧(ちえ)の光明」とも言い表されます。
そしてこの明かりについて、道元禅師さまは「世の中の、誰にも豊かに備わっているけれども、それを実際に働かせなければ、具体的な明かりとして輝いていかない(この法は、人々の分上にゆたかにそなはれりといへども、修せざるにはあらわれず、証せざるにはうることなし)」とお示しです(「辦道話(べんどうわ)」)。
この御教えを受け、我々はこの智慧の光明を仏行(ぶつぎょう)として働かせていくこと、日常生活の中で実践していくこと、更にそれを皆さまに伝え広めていくことが肝要である、と思うのであります。
今大遠忌を迎えるにあたり、このような意味から「光明」を、我々も皆さまも共々に改めて学び直し、大切な方々にお伝えしながら、この尊い働き・智慧の光明を引き出し合って明るい世の中になるよう願い、努めて参りたいと願うのであります。
どうぞ皆様、ご理解頂きましてご協力の程宜しくお願い申し上げます。
テーマとスローガン
〈大遠忌テーマ〉
『光明~二祖の示された内なる輝き~』
〈布教スローガン〉
『照らし合い 支え合い 今此処(ここ)で輝く生命(いのち)の光』
我利(がり)・我欲(がよく)を中心に、争い、奪い合い、傷つけ合うのは暗黒の世界です。世は無常(むじょう)であり無我(むが)でありますから、我利・我欲を振りかざせば四苦八苦の人生となります。「苦」とは「思い通りにならない」の意です。
この“俺が”・“私が”という自我意識からこの私を解放し、皆と分け合い、助け合い、支え合って、和合(わごう)・和睦(わぼく)しあえたならば、その時、本来、自身に備わっている光明を発し、輝く生命(いのち)となるのです。
思い通りにならないことを思い通りにしようと、いたずらにもがき苦しまず、仏さまの計らいとして前向きに受け入れ、自らを生かし他を生かす、善き縁・善縁としてゆくのです。
戦後80年、悲しくも世は暗黒へと向かい出しました。しかし私たちは、この私に「光明」が、本来備わっていることを忘れてはなりません。
和合・和睦して、照らし合い、支え合い、世の光明となろうではありませんか。